『あたしのおばあちゃんは、プタ』
『あたしのおばあちゃんは、プタ』(ニーナ・ボーデン著 こだまともこ訳)
童話館出版より刊行されました。
この本は2002年に偕成社より刊行された『おばあちゃんはハーレーにのって』の新装版です。
童話館出版から新装版として発売されることが決まり、表紙を描きおろしました。
本文の挿絵は2002年の偕成社版のまま、扉や目次などレイアウトをあらたに、挿絵がすこし増えました。
(2002年に描いたものの使わなかった絵を今回いくつか入れました)
物語の主人公キャットはおばあちゃんのプタとふたり暮らし。猫や犬も一緒です。
プタは、ハーレーダビッドソンという格好良いバイクを乗りこなす、型破りなところのあるおばあちゃん。患者さんから信頼されているお医者さんでもあります。
キャットには別の街で暮らす両親がいます。あるときその両親から「キャットと一緒に暮らしたい」と言われますが……
「家族」ってなんだろう?
童話館出版からの刊行予定が決まり、久しぶりに読んでみると、2002年に読んだ時とはちがう想いが湧いてきました。
当時は今ほどには「児童虐待」「ネグレクト」などという言葉も、日本ではあまり言われていませんでした。
2002年よりいま、この物語が必要かもしれません。
新しい表紙について。
2002年の『おばあちゃんはハーレーにのって』(偕成社)では、おばあちゃんのプタをメインにして表紙を描きました。
革ジャン姿のプタとハーレーダビッドソンの表紙はとても格好良いものでしたが、「バイクを乗りこなす格好いいおばあちゃんが活躍する物語」という第一印象です。
当時は私の経験が浅くて、物語の内容を表紙(装幀画)で表現するということを、深くは理解できていませんでした。
ひさしぶりに読み返し、「これはキャットの物語なんだ」と確信しました。それならば表紙には、やはりキャットがいなくちゃなりません。
キャットは年齢的には子どもでも、個人として大人たちに自分の意見を言います。
ときに辛辣だなあと驚くほど。
まわりの大人たちの反応はそれぞれにあって。
周囲の皆に納得してもらえたら良いけれど、全員が納得できるような正解はないのかもしれません。
キャットのまっすぐなまなざし。そのそばにたたずむプタ。
キャットのすすむ道を決めるのは他の誰かじゃなく、キャットなんだ。
そんなことを考えながら、表紙の絵を描きました。
さまざまな場所にいる子どもたちに、この物語が届きますようにと願っています。
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